牧場から峠への道は両側を山に挟まれた谷間を行く。登るにつれ雄大な景色が広がる。坂を上り切れば、向こうにはどんな景色があるのだろう。三神山をもう一度見たいと願った期待が膨らんでいく。ジョセフ・ロックもこの道を行ったのだろうか。

前方から馬を引きながら数人のガイドが降りてきた。亞丁の表玄関近くに登山客を送り村に帰る途中という。私たちのガイドのニィモさんの友達らしい。そして二人が話あい、若いガイドが明日、登山口に停めた車に乗り、私たちが泊まる香格里拉鎮のホテルまで届けてくれるという。香格里拉鎮で車を探し、5時間ほどかけ険しい山道を走り、車を停めた登山口まで行き、再び同じ道を戻るのかといささか憂鬱になっていた心がいっぺんに明るくなった。そして晴れやかな気持ちで峠を目指した。