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烏魯木斉(ウルムチ)からカナスへ
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新疆は西域の地、北京から行けば日本に行くよりはるかに遠い。そんな遠い新疆を肌で感じようと甘粛省の蘭州から高速鉄道に乗った。烏魯木斉(ウルムチ)まで12時間である。途中、時間を持て余すかと思ったがそうでもない。車窓に拡がる風景に目を奪われている間に時は過ぎた。蘭州を出ると列車は西に向かい青海省の西寧に着く。西寧から北西に祁連(キレン)山脈を抜ける。その主峰の祁連山は海抜5,547mである。そして列車はシルクロードに沿って走る。古代史の地、酒泉や嘉峪関、敦煌の近くを通り新疆の哈密(ハミ)や吐魯番(トルファン)を過ぎると間もなく烏魯木斉に着く。車窓にはシルクロードを思い起こさせる風景が拡がる。広大な緑の畑の向こうに咲き始めた菜の花の黄色い色が長い線で続いている。新疆は訪れて初めてわかる地である。50度近い灼熱の砂漠、荒涼と続く草も木もない黒い大地。天山山脈から流れる川に浸食された大渓谷、いまにも鬼が出そうな赤茶けた山々が続く鬼城、そして延々と続く海抜5千mを越える雪の天山山脈。列車の旅の車窓に拡がる風景は感動の浄土への旅のプロローグだった。