※このページに掲載した写真は個人利用に限り自由にご利用いただけます。
著作権について
清風吹き渡る三面青山の草原劇場
INDEX
- 清風吹き渡る三面青山の草原劇場【那拉堤(ナラテー)1】
- 清風吹き渡る三面青山の草原劇場2【那拉堤(ナラテー)2】
- 清風吹き渡る三面青山の草原劇場3【那拉堤(ナラテー)3】
西天山から中天山にかけて三つの有名な草原がある。喀拉峻(カラジュン)と巴音布魯克(パインブルク)、そして那拉堤(ナラテー)である。那拉堤は“三面青山列翠屏、腰囲玉帯河縦横”、三方を緑の山に囲まれ、玉帯のような河が縦横にながれると言われる草原である。蒙古語では“緑色谷地”、カザフ語では“白陽坡(傾斜地)”という。古代、成吉思汗(ジンギスカン)が西域に遠征した時、一面が花に覆われた緑の大草原を見て“ナラテー”(おお緑の谷よ!)と叫んでその名がついたという。荒涼としたゴビ砂漠やジュンガル盆地を越えて伊梨河谷に着いて“オオー!ナラテー”と叫んだ成吉思汗の気持ちがわかるような気がする。
天山山系の那拉堤山脈と阿爾善山にはさまれた谷間の草原はまるで草原劇場の舞台のようだった。舞台で馬や羊が戯れ、点在する白いパオは緑の中に輝く真珠のようだった。山の中腹から草原を眺めていると、清らかな風に乗ってカザフ族の女性が真っ白い衣装をまとい歌う、ソプラノの歌声が聞こえてくる。そんな思いがする緑の劇場だった。きっと昔、カザフの遊牧民はこの緑の舞台で狩りの祈りを捧げ、民族衣装を着飾って踊り、空に向かって唄ったのだろう。