霧氷が見たくなり吉林省に行った。毎年、冬になると吉林市の松花江沿いの霧氷、中国では霧淞（ウソン）と呼ばれるが、その霧淞のすばらしい写真がニュースで流れる。一度は見てみたいと思い、吉林市でも殊に美しい霧淞風景を見ることができる、その名のとおりの霧淞島を訪ねた。北京から高速鉄道に乗って吉林に着き、そのまま霧淞島に向かった。

翌朝、霧氷に心躍らせ、早く起きたが旅館のご主人から、開口一番、今日の霧氷はゼロと言われた。えっと、期待した心が沈んでいく。しかし、考えると霧氷は、一定の自然条件の下で見ることができるもの。今年は、吉林も暖冬で霧氷が不安定である。私たちが到着した前日は、美しかったと言われたのにはさらに気持ちが沈んだ。しかたなくその日は、霧淞島の日の出を見た後、吉林市近郊の松花湖に行った。

松花湖はダム湖で、戦時中日本が建設したダムも残され、そこに新しいダムが建設されている。今年の松花湖は暖冬で凍らないようで、観光船も乗る客もなく、頼むと私たちだけで船を出してくれた。湖の奥に向かうと氷と水の境界を見ることができた。