広東省と言えば広州や深圳の摩天楼の大都会を思い浮かべるが実に広く多彩な地域である。総面積は約18万㎢なので九州の4.3倍の広さがあり常住人口も日本全体の人口に等しい。大都会から車で高速道路を1～３時間ほど走れば、感動中国100の第43回「丹霞山」で紹介した雲海に浮かぶ見事な岩峰の峰々や第40回「開平」で紹介した「開平望楼」を見ることができる。
そんな広東省の感動を求め広州の北、清運市の「洞天仙境」に行った。

ボートに乗って川を進むとすぐ、大きな洞窟入り口があった。洞窟の真っ暗の中をボートが進むと、その向こうに眩しい陽の光が注ぐ空間が見えてきた。滝を落ちる水滴が陽に輝き、まるで真っ暗な映画館でスクリーンに映る映像を見ているような景色である。
暗い洞窟を抜けて真上を見ると大きな楕円の空間が天窓のように開いており、そこから青空が見えた。楕円の大きさは縦60ｍ、横20～30ｍ程だろうか。
高さ50ｍ～100ｍほどの岩壁がせり上がり、まるで天然のドーム球場である。

このような地形は中国で天坑と呼ばれ、その多くは陥没した大きな立穴空間を言う。
有名な重慶の奉節県にある“小寨天坑”は直径が622ｍ、深さは666ｍあり、世界的にも有名であるが、“小寨天坑”と比べると“洞天仙境”は小さな天坑であるが、暗闇の中に陽光が降り注ぎ、天然ドームで天空を覗く感動の天坑である。