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シルクロードの古道を歩く3
INDEX
- シルクロードの古道を歩く【夏塔古道1】
- シルクロードの古道を歩く2【夏塔古道2】
- シルクロードの古道を歩く3【夏塔古道3】
シルクロードの南ルートは楼蘭でタクラマカン砂漠の南に沿い崑崙山脈を進み、新疆南部の和田から叶城(シェチョン)を通りトルクメニスタンのマリーで中央ルートと合流してイラン、トルコ方面に向かう。叶城(カシュガル地区にある新疆西南部の街)を出てシルクロードを南に行けばパキスタンのイスラマバードからインドに向かう。その途中、中国とパキスタンの国境、崑崙山脈の高い峠を越えてしばらく行くと宮本輝氏の小説にも登場する桃源郷のフンザがある。新疆は文明の交流を支えた背骨のようなところである。古にはシルクロードは人々に別れの物語をもたらした。唐の時代、李白と同年輩の王維はトルファンの近くに赴任する友との別れを惜しみ、酒を酌み交わしながら「勧君更尽一杯酒 西出陽関無故人」(さらにもう一杯飲みあかそうではないか、陽関を出ればもう共に飲む友もいなくなるよ)と詠んだ。陽関は甘粛省から新疆への入り口である。李白は「戦城南」で「去年戦桑干源 今年戦葱河道 放馬天山雪中草」(去年は桑干川の源で戦い、今年は葱河道で戦う、その合間に天山の雪の中で馬をあらおう)と詠んだ。桑干は山西省の北から河北省をながれる川、葱河はパミール高原から新疆西部のシルクロードを流れる川である。