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清風吹き渡る三面青山の草原劇場3
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- 清風吹き渡る三面青山の草原劇場【那拉堤(ナラテー)1】
- 清風吹き渡る三面青山の草原劇場2【那拉堤(ナラテー)2】
- 清風吹き渡る三面青山の草原劇場3【那拉堤(ナラテー)3】
那拉堤草原は面積が1,800㎢で世界の四大高山渓谷草原の一つと言われる。ここは遊牧民族の烏孫国の地である。またシルクロードの古道、烏孫古道も通っている。天山の雪山の中を歩きこの大草原にたどり着いた旅人はどんな言葉を発したのだろうか。漢王朝から烏孫国に嫁いだ宮女、王名君を詠った石崇の「王名君辞」という詩がある。「僕御涕流離 轅馬悲且鳴 哀鬱傷五内 泣涙湿朱纓 行行日已遠 遂造匈奴城」(車を率いる御者は涙を流し馬もまた悲しみにいななく 哀鬱は腹の底までしみとおり 流す涙は冠の紐まで濡らしてしまう 遠く都を離れて長い旅を続けて 遂に異国の匈奴が暮らす街に来てしまった)
「願假飛鴻翼 乗之以遐征」(もしかなうならば鵬の翼を借りて どこか遠いところに行ってしまいたい)。洛陽の都から政略結婚で西域の烏孫の国に嫁いだ王明君の悲しみを詠った詩である。王明君の心はこの大草原を見ても癒されることはなく「今為糞土英」(今は糞土の花となった)と悲しんだのか。そんな王明君の嘆きも嘘のように輝く緑の草原を見た旅人は思わず「オオー ナラテー!」と叫んだだろう。