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清風吹き渡る三面青山の草原劇場2
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- 清風吹き渡る三面青山の草原劇場【那拉堤(ナラテー)1】
- 清風吹き渡る三面青山の草原劇場2【那拉堤(ナラテー)2】
- 清風吹き渡る三面青山の草原劇場3【那拉堤(ナラテー)3】
日本では山を見て「青い」と言う言い方が多い。1950年代の有名な歌も「青い山脈雪割桜」と歌う。唐の時代、杜甫の「絶句」は「江碧鳥逾白 山青花然 今春看又過 何日是帰年」(川は深い緑で鳥は真っ白く、山は青く、花は今、真っ盛りに燃えている、今年の春もまたたくまに過ぎてゆく、故郷に帰る日はいつかくるのだろうか)と詠んだ。清代の詩人、王士稹は「青山」で「晨雨過青山 漠漠寒煙織」(夜半から降った雨が青山を過ぎ 冷たい霧が一面に立ち込める)と詠う。日本でも中国でも山は青い。なぜ緑でなく青なのか。そういえば信号も緑でなく青ではあるが。
中国の小学生は学校で「敕勒川 陰山下」という古詩を習う。「天依穹廬 籠蓋四野 天蒼蒼 野茫茫 風吹草 低見牛」(大空がパオの幕のように広大な草原を覆い、空は青々とし、野は果てしなく拡がり、風が草原を吹き渡り、小さく牛が見える)
陰山は内モンゴルの山で山西省北部のトルコ系の敕勒族が北国の草原を詠った詩である。ナラテーもまさにそんな詩のような草原だった。多くの言葉で飾らなくても“三面青山 天蒼蒼 野茫茫”が全てを語っている。