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浪漫の回廊から褐色の大地へ3
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- 浪漫の回廊から褐色の大地へ【阿拉溝から托克遜へ1】
- 浪漫の回廊から褐色の大地へ2【阿拉溝から托克遜へ2】
- 浪漫の回廊から褐色の大地へ3【阿拉溝から托克遜へ3】
阿拉溝を越えるとタクラマカン砂漠の北、トルファン盆地の庫木塔格(クムタク)砂漠に入り赤茶けた山が続く。短時間で対照的な風景に出会えるのもこの街道の魅力である。古代の旅人もその変貌に戸惑いながらシルクロードを旅したのだろうか。途中の村々の黄色い麦畑と緑の畑の鮮やかなコントラストもすばらしい風景だった。
だがそんな感傷はトルファンの手前の托克遜(タクソン)の街に着くと一変した。夜の10時でも明るい街には想像すらできなかった熱風が吹いていた。まるで真っ赤に燃える炎に顔を近づけたような熱い風だった。翌日の吐魯番の気温は42度、その温度がさわやかにすら感じられる、そんな熱さだった。その中でも街行く人は平然と歩き、日々の暮らしが営まれていた。托克遜の街は人間の強さが実感できる街だった。思えば新疆の大半はタクラマカン砂漠など草木も生えない地である。浄土に来たと浮かれていた私に新疆のほんとうの姿を見せてあげようと自然がしくんでいるようである。トルファンや托克遜で暮らす大半はウィグル族である。街でであったウィグル族の人々は明るく、逞しく厳しい自然の中で日々の生活を営んでいた。