※このページに掲載した写真は個人利用に限り自由にご利用いただけます。
著作権について
最後の浄土2
INDEX
- 最後の浄土【喀納斯(カナス)1】
- 最後の浄土2【喀納斯(カナス)2】
- 最後の浄土3【喀納斯(カナス)3】
カナスの牧場で2頭の馬が寄り添いながら丘を登っていた。1頭の馬の前足は紐でくくられていた。もう一頭の馬は自由に歩いていたが、先に丘を登ることもなく、不自由に歩く馬をかばって支えるように寄り添い、身体を触れながらゆっくりと丘を登っていた。きっとカナスの自然は人にも馬にもやさしい想いを抱かせるのだろう。
やはりここは“浄土”だった。
カナス湖を見下ろす山に登った。色とりどりの花が咲き乱れ、その向こうに雲がたなびくアルタイの山が見える。
喀納斯(カナス)は蒙古語で“豊饒の美しさ、深遠な神秘”の地という。
昔、この地を訪れた成吉思汗(ジンギスカン)の国司は“誰知西域逢佳景 澄澄春水一池平”(水は澄みわたり湖は穏やか、遠い西域でこんな絶景に出会うなんて誰が思うだろうか)と詠んだ。
翌朝早く、カナス湖を見下ろす昨日とは反対側の山に一人登った。トゥバ族がゆっくりと高原で馬を走らせていた。夜明けとともに霧の中からカナス湖が現れた。カナス湖やはり神秘の聖なる湖だった。