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亜丁への道3
INDEX
- 亜丁への道【紅石公園】
- 亜丁への道2【紅石公園から康定へ】
- 亜丁への道3【折多(チタ)山】
- 亜丁への道4【貢嘎(コンガ)山】
- 亜丁への道5【天路十八号を越えて理塘へ】
- 亜丁への道6【海子(ハイツ)山】
四川省の西部、茶馬古道を行くとチベット仏教の五色の祈祷旗、タルチョがいたるところで目に入る。タルチョは風馬旗とも呼ばれ経典、仏法を風に乗せて伝えるための旗である。“馬即風”で風が馬の代わりに経典を運ぶので風馬旗と呼ぶのだろう。風馬はチベット語で“隆達”で、隆は風、達は馬である。チベット仏教の経典の根源は“六字箴言”すなわち六文字の箴言(金言)「翁ウェン、麻マ、尼ニ、八パ、米ミ、牟ム」である。これらの箴言が風に乗り伝播される。それが風馬旗の意味である。康定から新都橋に向かう途中、国道318号は海抜4,298mの折多(チタ)山峠を通る。峠を越える道は壮観である。峠で車を止めてアイゼンをつけて雪の折多山に登った。折多山は青藏高原に入る分水嶺で、折多山を越えると茶馬古道はチベットに入る。近くには長江(揚子江)支流の岷江源流の“大渡河”が流れる。折多はチベット語で“湾曲”を意味し、“嘉絨”(美しい織物)とも呼ばれる。山への登り道の両側に風馬旗が風になびき、その道は天に上る階段のようである。折多山からの眺めはそのなのとおり雪のまだら模様が美しい自然の絨毯のようだった。遠くにコンガの峰が見渡せ、峠を挟み国道318号線がチベットに向かいどこまでも続いている。