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天山の山懐に抱かれて2
INDEX
- 天山の山懐に抱かれて【天山天池】
- 天山の山懐に抱かれて2【南山牧場】
- 天山の山懐に抱かれて3【奎屯河大峡谷】
烏魯木斉(ウルムチ)近郊の南山牧場に行った。ウルムチ市内から75㎞、海抜2,252mにある面積が120㎢の清の時代からも有名な大牧場で、「牧場芳草緑萋萋 養得驊騮十万蹄」(牧場の草は生い茂り緑は豊饒、栗毛の馬を十万頭は養える)と詩にも詠まれた。訪れた時、牧場には春の花が咲き乱れ、春の草を求めて羊が急な山の斜面を駆け上っていた。
明の時代の呉偉業が詠んだ口占(即興)の詩の一節に、「兼来高枕白雲辺 吾生此外無他願」がある。生きるのに退屈すれば枕を高くして白雲の下に寝転んでいればよい。我が人生、他に何の望みがあろうか。という詩である。牧場で花に囲まれ温かい春の陽ざしを浴びながら、白雲の下で長い時間寝ていると、呉偉業が詠んだように他には何もいらないという気になってきた。このまま時間も止まれ。そんな一日だった。牧場では黄、紫、青、白の花が咲き、パオと草原、花、そして羊や馬、みんな春の草原劇場の主役だった。