感動中国100 記事一覧
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第31回
波打つ、花と深緑の大草原喀拉峻(カラジュン)
伊犁河谷にある“喀拉峻”(カラジュン)は深緑が海のように波打つ草原で、“喀拉峻”とはカザフ語で“深い緑が果てしなく生い茂る”の意である。緑の波の上を柔らかく頬をなでてさわやかに吹き渡る風、雪山を背に草原には黄、紫、赤の五花が咲き乱れ、旅人は緑の波に身をまかせて、まるで夢の空中庭園を浮遊している不思議な感覚になる。果てしない草原で草を食む天馬の向こうの雪山に赤い夕陽が沈む。それを見ているだけで生気が蘇る。“喀拉峻”はそんな波打つ夢の草原だった。
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第30回
シルクロードの古道を歩く夏塔古道
新疆の伊犁哈薩克(イリカザフ)自治州の伊犁から天山を越え南新疆の阿克蘇(アクス)に向かう夏塔(シャタ)古道がある。前長120㎞で海抜3、582mの哈塔木孜達坂(ハトムチタ)坂を行くシルクロードの難所である。“塔僧古道”とも言われ、唐の僧が経典を求めインドへの旅の途中に古道で “手真可取明月”(手を伸ばせば月をつかめる)という詩を詠み“弓月道”とも呼ばれた。古道には白く輝く白水河が流れ、正面には海抜6,995mの汗謄格里(ハンテンクリ)峰が見え、その奥にはキルギスタンとの国境に聳える7,443mの天山山脈最高峰、托木尓(トム―ル)峰がある。白水川の畔で馬が休んでいる。古代の旅人もきっとこの風景に癒されたことだろう。
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第29回
生命が蘇る地昭蘇
昭蘇は天山に囲まれた盆地で、新疆で唯一砂漠や荒れ地がないユートピアである。昭蘇は古代漢語で「万物復蘇」(生命が蘇る)の意で天馬と呼ぶ伊犁馬の産地で、春には600㎢に及ぶ菜の花畑が広がり“油菜の郷”“彩虹の都”とも呼ばれる。昭蘇には“草原石人”と呼ぶ石人が、陽が登る東を向き大草原の真ん中に立っている。昭蘇はシルクロードの北ルートに位置し、昭蘇を南に行けば天山の高山地帯に入りシルクロードの古道が通っている。シルクロードを行く古の旅人やラクダもきっと昭蘇で旅の疲れをいやしたのだろう。
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第28回
碧水、碧空、山花爛漫の伊犁河谷へ賽里木(サリム)湖、果子溝
周囲90㎞の湖畔は春に菜の花で黄色になり、初夏は薫衣草(ラベンダー)で紫の草原になり、四季折々に美しい風景が見られる。サリムはカザフ語で“願い”の意で、湖水は愛に殉じた恋人たちの涙でできたとの言い伝えがある。そこは恋人たちの聖地だった。毎年湖畔を回る自転車ロードレースがあるという。湖畔には花が咲き乱れ、周囲はトウヒの林、湖面を吹き渡る風とともに湖畔を走るのはどんな気分だろうか。山の向こうはもうカザフスタンである。
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第27回
清朝四大皇帝、康熙帝ゆかりの地を訪ねて北京から河北路を内モンゴルへ/奇岩の回廊(承徳近郊)/避暑山庄/普陀宗乗之廟/普楽寺夕景
避暑山庄の向かいの山に清朝時代に建てられた「外八廟」と呼ぶ八つの寺院がある。その一つの普楽寺は1766年に建築が始まった漢族仏教様式と西蔵仏教様式の折衷様式で建てられたお寺である。普楽寺には有名な木製曼荼羅と瑠璃硝子の黄色い屋根瓦、黄金の宝頂と円形の建物で有名な旭光閣がある。太陽が沈みかけると空が赤く染まり、旭光閣の屋根が夕陽に照らされる。そして旭光閣と境内の木々が夕陽を背景に美しいシルエットをつくる。
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第26回
湘西文化が伝わる歴史の街黔陽古城と洪江古商城
黔陽古城は漢の時代から二千二百年続き、湘西(湖南省西部)の歴史文化を伝える名城で、唐、明、清の時代の役所や商人の建物が残る。黔陽古城の南、沅(ヤン)江と巫(ウ)江の合流するところには洪(ホン)江古商城がある。明、清の時代に栄えた洪江商人の古商城で、洪江特産の桐油の商人の建物や新聞社や劇場、遊郭、清朝政府の徴税管理の役所「厘金局」などの風情のある建物が残る。
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第25回
苗族文化が残る石積集落苗人谷と苗寨
苗人谷は今も苗族の服装、歌、生活風習など苗族文化が色濃く残る、最後の苗寨(苗族が暮らす村)とも言われる。苗寨は湘(湖南)、黔(ケン、貴州)、滇(テン、雲南)に多く存在し、苗族は万物信仰、自然崇拝のもとに今も自然と共生して暮らす稲作民族である。苗人谷の家々の塀は石が積まれ、石を敷き詰めた村の道を、籠を背負った苗族の老婆が歩いていた。
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第24回
中国最美的小城鳳凰
鳳凰は湖南省の西部、湘西土家(トチャ)族苗(ミャオ)族自治州にある中国最美的小城と言われる。古城の建設が始まったのは明代の1554年で約500年の歴史がある街で、湘西民族の風情が残る古城である。街の中を沱江(トゥオジャン、ダコウ)が流れ、両岸を結ぶ飛び石と古代の趣ある虹橋は鳳凰を象徴する風景である。沱江の河岸には木造の古建築が並び、木造建物と石を積み上げた石造りの建築が調和しているのもこの古城を歩く楽しみである。
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第23回
千年の古鎮と奇岩芙蓉鎮/紅石林
湖南省の西、重慶市と貴州省の境の地を「湘西」と呼び、土家(トチャ)族や苗(ミャオ)族が暮らす。芙蓉鎮は張家界の南60㎞ほどにある土家王の千年古鎮で湘西四大古鎮の一つである。芙蓉鎮は春秋戦国時代に市がひらかれ漢の時代には酉陽県の役所が置かれて土家の王が住んだ都である。芙蓉鎮は” 楚蜀通津“と言われる水運の要衝にあり、北は「楚」の湖北、西は「蜀」の四川、南は「黔」の貴州に川で通じている。古鎮には高さ六十m、幅四十mの大滝があり、滝の上に古い家が建ち、他に見られない滝の上の古鎮である。